近年、年齢や性別を問わず「御朱印集め」が人気を集めています。
SNS上で「#御朱印」のハッシュタグが広まり、数十万件以上の投稿が見られるなど、神社やお寺を訪れる際の新しい楽しみ方として注目を浴びています。
しかし、御朱印には単なるコレクションの楽しさだけでなく、日本の伝統や歴史に触れる深い魅力が秘められています。
例えば、平安時代から続く由緒あるお寺で頂ける御朱印には、その場所の歴史や信仰が凝縮されており、一枚一枚がその土地の文化を物語っています。
また、特定の時期にしか手に入らない季節限定の御朱印を集めることで、四季折々の風景や行事とともに、日本の美しい文化を体験することができます。
本記事では、御朱印の基礎知識から楽しみ方までを詳しくご紹介します。
御朱印とは
御朱印とは、神社やお寺に参拝した証としていただける墨書きの印です。
一般的には、御朱印はスタンプのようなものではなく、一つ一つ手書きで書かれています。
但し、現在では、一部の寺社でスタンプを用いた簡易的な御朱印(書き置き)を授与している場合もあります。
コロナ禍以降、感染症対策として書き置きが増えていることも事実です。
御朱印の歴史
御朱印の起源には諸説ありますが、有力な説の一つとして、鎌倉時代以降に寺院への参拝の証として納経を写経に代えて納める風習が広まり、その受領書として授与されたものが始まりとされています。
平安時代の経典への押印・書き付け(納経印)が起源という説もありますが、現在の御朱印とは性格が異なると考えられています。
これが一般に広がったのは江戸時代頃で、庶民の間でも巡礼が広がり、各地の神社や寺院で御朱印を頂くことが普及しました。
御朱印は当時から信仰の証であり、同時に人々が巡礼の記録として大切にしたものでした。
そのため、御朱印には当時の人々の信仰心や文化の痕跡が今も息づいています。
現代では、信仰の証としてだけでなく、芸術作品としての価値が見直され、御朱印帳に記された墨の一筆一筆に込められた職人の技を見ることができます。
御朱印の種類
御朱印には、神社とお寺でそれぞれ異なる特徴があります。
神社では社名や祭神の名前、日付などが中心に書かれ、特に神社のシンボルである朱色の判が押されることが多いです。
神社の御朱印には、神様との直接的な結びつきを強調する要素があり、朱色の印は神聖なエネルギーを象徴しています。
一方、お寺の御朱印では本尊名や寺院名、参拝日などが記されており、お寺の教えや仏の慈悲を表現する書風や装飾が特徴です。
お寺の御朱印には、その寺院の歴史や信仰の深さが反映されており、書かれた文字や印からも仏教の精神が感じられます。
寺院では本尊名や寺院名、そして参拝日などが記され、各お寺が持つ個性的な書風や装飾が見られます。
また、御朱印の中には「限定御朱印」と呼ばれる特別なものが存在します。
例えば、季節ごとの花をモチーフにしたものや、年に一度しか頂けない節目の御朱印など、その時期や行事にちなんだ特別なデザインの御朱印があり、これを集めることも大きな魅力です。
また、最近では神社やお寺のキャラクターをあしらったポップなデザインの御朱印も登場しており、若い世代にも人気を博しています。
御朱印集めの基本マナー
御朱印は神聖な宗教文化であり、趣味として楽しむ際には敬意を持つことが重要です。
参拝の作法
御朱印を頂く前には、必ず正しい参拝作法を行いましょう。
神社では一般的に二礼二拍手一礼の作法を行います。(※神社によって作法が異なる場合があります。参拝前に確認することを推奨します。)
まず鳥居をくぐる際には、軽く一礼をすることから始め、参道を歩く際は真ん中を避けるなどのマナーもあります。
これは真ん中が神様の通り道とされているためです。
手水舎で手と口を清め、神殿の前で二礼(深くおじぎを二回)、二拍手、そして一礼を行います。
一方で、お寺の場合は拍手は行わず、合掌してお祈りします。(※宗派によっては作法が異なります。例えば、浄土真宗では合掌ではなく、静かに念仏を称えるのが一般的です。)
お参りを済ませた後に御朱印所で御朱印をお願いするのが基本的な流れです。
また、混雑時には周囲に配慮し、静かに待つことが大切です。
御朱印帳の扱い
御朱印帳は神聖なものとして大切に扱いましょう。
御朱印帳を床に置いたり、乱雑に扱ったりするのは避けるのが望ましいです。
御朱印帳は神仏との繋がりを象徴するものですから、その取り扱いには細心の注意を払う必要があります。
御朱印を頂く際には、必ず自分の御朱印帳を持参しましょう。
神社やお寺が用意した専用の帳面(御朱印帳)以外で受けることは好ましくありません。
半紙に書いてもらうことを希望する参拝者もいますし、寺社側が半紙に書いて授与することもあります。
特に、複数の寺社でまとめて書いてもらうために、あらかじめ用意した専用の台紙や掛け軸などを持参する人もいます。
ただし、寺社によっては断られる場合もあるので、事前に確認することが望ましいです。
御朱印帳を綺麗に保つために、専用の袋やカバーに入れて持ち歩くとよいでしょう。
こうしたマナーを守ることで、神社やお寺での御朱印集めがより良い体験となります。
御朱印集めの4つの楽しみ方
御朱印集めは、個々に合った楽しみ方を見つけることで、より深い魅力を味わえます。
【楽しみ方1】テーマを決める
御朱印集めには様々なテーマを設定することで、旅の楽しみ方が広がります。
例えば、「七福神巡り」は全国各地で行われており、福をもたらすとされる七福神を祭る神社を巡るものです。
また、「古刹巡り」では、歴史的に由緒あるお寺を訪れ、長い歴史に触れることができます。
宗派ごとの寺院巡りも面白いテーマです。
同じ宗派でも地域ごとに異なる雰囲気があり、それぞれの特色を感じることができます。
テーマを設定することで、その土地の文化や歴史に対する理解が深まり、御朱印集めがより意味のあるものとなるでしょう。
【楽しみ方2】季節や特別行事との組み合わせ
季節や行事に合わせて神社仏閣を訪れることも、御朱印集めの楽しみの一つです。
例えば、春には桜や梅、秋には紅葉が美しい時期に訪れることで、四季折々の風景を楽しみながら御朱印を集めることができます。
また、初詣や節分、夏祭りなどの特別な行事の際には、その時期限定の御朱印が授与されることが多く、特別感を味わうことができます。
最近では、地域ごとの花や風物詩をモチーフにした季節限定の御朱印も多く、これを目当てに参拝する人も増えています。
こうした限定御朱印はその時期にしか手に入らないため、収集家にとっては特に魅力的です。
ただ、限定御朱印を求める人が集中し、トラブルになるケースも報告されていますので、限定御朱印の授与状況については、事前に寺社のウェブサイトやSNSで確認し、参拝する際には周囲に配慮することが大切です。
限定の御朱印に関しては「御朱印・神社お寺の検索サイト ホトカミ」さんのサイトでも検索ができます。
【楽しみ方3】寺社の建築や芸術に触れる
御朱印を頂く際に、ぜひ注目してほしいのが寺社の建築や芸術です。
それぞれの神社やお寺には独自の建築様式や歴史があり、御朱印を頂く目的だけでなく、その場所自体を楽しむことも大切です。
例えば、神社の鳥居や本殿の造り、お寺の本堂や庭園など、そこに息づく伝統的な建築や芸術品に触れることができます。
仏像や彫刻、庭園の設計など、その場所にしかない独自の美しさを感じながら参拝することで、御朱印集めはより深い体験となります。
【楽しみ方4】地域の歴史と伝統を知る
各地の神社や寺院には、その土地特有の歴史や伝統が息づいています。
御朱印集めを通して、各地の祭りや伝統行事についても知識を深めることができます。
例えば、地域の神社で開催されるお祭りや、特定の時期にのみ行われる行事など、その地域に根付いた文化や伝統を知ることができます。
また、地元の人々との触れ合いを通じて、その土地の歴史や背景についての理解が深まることも多く、御朱印集めが単なる趣味を超えた豊かな経験となるでしょう。
神社巡りに関しましては『50代から始める「神社巡り」の趣味』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。
まとめ
御朱印集めは、日本文化との深い対話の場であり、歴史や信仰、芸術に触れる貴重な体験です。
正しいマナーを守り、心を込めて参拝することで、その場所の背景や伝統を学び、参拝ごとの新たな発見や感動を得ることができます。
御朱印一つ一つに込められた意味を理解しながら集めることで、かけがえのない思い出とともに、日本の伝統文化への理解も深まっていくことでしょう。
御朱印集めは、単なるコレクションではなく、旅先での一期一会の出会いを感じながら、心豊かに過ごすひとときです。
あなたもぜひ、自分なりのテーマを見つけて、日本各地を巡ってみてはいかがでしょうか?