はじめに

お孫さんの食事の話題や、ご家族の食卓を整えるなかで、「食育」という言葉を目にすることがあります。

少し学んでみたいと思って資格を調べ始めると、食育インストラクター、食育アドバイザー、食生活アドバイザーと、似た名前が次々に出てきて、どこから見ればよいのか迷うことがあります。

この記事では、まず食育という言葉の意味を確かめたうえで、「食育」の名がつく資格を取得ルートの違いで整理します。

取得後に活かせる場面とそうではない場面、資格を取らずに学ぶ道もあわせてお伝えします。

なお、試験対策や勉強法、通信講座の比較やランキング、求人に関する情報はこの記事では扱いません。

食育とは|子どもだけでなく、大人にも向けられた学び

食育とは、食に関する知識と食を選ぶ力を身につけ、健全な食生活を実践できる人を育てる取り組みです。

2005年に制定された食育基本法に位置づけられており、2026年には法律の改正と国の新しい計画で「大人の食育」が打ち出されました。

食育基本法と農林水産省の説明

食育は、2005年(平成17年)に制定された食育基本法にもとづいて、国や自治体が進めている取り組みです。農林水産省は、食育を次のように説明しています。

食育は、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けられるとともに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てるもの。

出典:農林水産省「「食育」とは」(2026年9月28日確認)

食育というと、子どもに向けた取り組みを思い浮かべる方もいらっしゃいます。食育基本法の前文には、次の一文があります。

もとより、食育はあらゆる世代の国民に必要なものであるが、子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものである。

子どもへの食育の大切さを述べながらも、食育そのものは、あらゆる世代に必要なものと位置づけられています。

2026年の法改正と第5次食育推進基本計画で「大人の食育」が打ち出されました

2026年には、食育に関わる大きな動きが2つありました。

どちらも「大人の食育」に関わるものです。

一つは、食育基本法の改正です。

食育基本法の一部を改正する法律(令和8年法律第24号)が2026年5月27日に公布・施行され、「成年に達した者の健全な食生活の実現に資する取組の推進」という条文(第20条の2)が新しく設けられました。

条文が例として挙げているのは、大学等の学生に対する啓発活動や、事業者が雇用する人の健康に配慮して行う食育活動への支援などです。

出典:e-Gov法令検索「食育基本法」(2026年9月28日確認)

もう一つは、第5次食育推進基本計画です。

2026年6月24日の第9回食育推進会議で決定され、計画期間は令和8年度(2026年度)からおおむね5年間です。

3つの重点事項の一つとして、健全な食生活の実現に向けた「大人の食育」の推進が掲げられています。計画本文では、次のように書かれています。

特に若い世代を中心に食や食生活を主体的に選択する世代を対象として、食や農林漁業への理解醸成と行動変容を促す「大人の食育」を推進していくことが重要である。

同じ重点事項のなかには、「切れ目のない、生涯を通じた食育の推進」が重要であるという記述もあります。

出典:農林水産省「第5次食育推進基本計画」(令和8年6月24日決定・2026年9月28日確認)

条文の例示や計画の説明は、学生や若い世代への取り組みが中心で、50代・60代に向けて特別に書かれたものではありません。

この記事では、長年ご自身やご家族の食を選んできた大人が、年代を問わず食について学び直す入口として、食育を取り上げます。

食育の資格は国家資格?種別と認定団体を確かめる

「食育の資格は国家資格なのか」は、調べ始めると気になる点の一つです。

このセクションでは、資格の種別と、名前が同じでも別の制度や使われ方があることを確認します。

資格名の中身を見る前に押さえておくと、そのあとの比較がしやすくなります。

「食育」の名がつく資格は、確認した範囲ではいずれも民間資格です

本記事で紹介する食育の資格は、いずれも民間団体が独自に認定する民間資格です。

たとえば食育インストラクターについて、認定団体のよくある質問には次のように書かれています。

「食育インストラクター」は国家資格ではありません。

平成18年9月に内閣府から認証されました特定非営利活動法人NPO日本食育インストラクター協会が認証する「資格」です。

出典:特定非営利活動法人NPO日本食育インストラクター協会「Q&A」(2026年9月28日確認)

民間資格は、認定団体ごとに取得の条件や費用を独自に定めています。似た名前であっても、認定する団体が違えば、学ぶ内容も手続きも別のものと考えてください。

なお、管理栄養士・栄養士・調理師など、食や栄養に関わる国家資格は、この記事で扱う民間資格とは別の制度のため、ここでは取り上げません。

同じ名前でも、別の制度や使われ方があります

「食育インストラクター」「食育アドバイザー」という名前は、この記事で確認した範囲でも、複数の団体が使っています。

調べるときは、どの団体の案内を見ているかを確かめておくと安心です。

食育インストラクターには、特定非営利活動法人NPO日本食育インストラクター協会が認定するものと、公益社団法人全国調理師養成施設協会の「食育インストラクター認定登録制度」があります。

この記事で主に取り上げるのは、通信教育講座から始められるNPO日本食育インストラクター協会のものです。

全国調理師養成施設協会の制度は、協会の説明では「調理師養成施設の在学生及び卒業生等に対し、協会の定める食育インストラクター実施要綱に基づいて講習及び試験を実施し、その合格者を認定登録する資格」です。受験の申請は受験者個人ではできず、在学する調理師養成施設を通じて手続きすると案内されています。

同協会の認定者は、NPO日本食育インストラクター協会の2級の受験資格が得られるとされています。

食育アドバイザーという名前にも、この記事で確認した範囲で2つの使われ方があります。

一つは、一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定するJADP認定食育アドバイザー®という民間資格です。

もう一つは、地域で活動する食生活改善推進員の呼び名です。

一般財団法人日本食生活協会の説明では、2005年に食育基本法が施行されたことを受けて、食生活改善推進員は「食育アドバイザー」を併名したとされています。

食生活改善推進員については、後半で紹介します。

食育の資格の取得ルートは、大きく3つ

「食育の資格は独学で取れますか」という疑問への答えは、資格ごとではなく、取得ルートごとに変わります。

ここでは、試験だけで取得できるもの、講座を修了してから認定団体の試験を受けるもの、講座を修了して認定団体に申請するものの3つに分けて見ていきます。

発酵の資格も、取得ルートの違いで整理しています。

あわせてご覧ください:発酵の資格はどれがいい?3つの取得ルートで選ぶ

ルート① 試験だけで取得できるもの

指定の講座を受けることが条件になっておらず、試験の結果で認定されるタイプです。

ご自身で準備を進め、試験に挑戦するという進め方ができます。

日本安全食料料理協会(JSFCA)が認定する食育健康アドバイザー®は、このルートにあたります。

受験資格は「特になし」で、インターネットから申し込むと試験問題が郵送で届き、解答を返送する在宅受験です。

受験料は10,000円(消費税込み)、合格の基準は「70%以上の評価」と示されています(2026年9月28日確認)。

ここでいう70%は、合格に必要な評価の基準です。

受験した人のうち何%が合格したかを示す「合格率」とは別のものなので、混同しないようご注意ください。

ルート② 指定の講座を修了してから試験を受けるもの

指定された講座のカリキュラムを修了することが、認定団体の試験を受ける条件になっているタイプです。

講座の受講料がかかる分、学ぶ順序があらかじめ用意されています。

一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)のJADP認定食育アドバイザー®は、このルートにあたります。

受験資格は「当協会指定の認定教育機関等が行う教育訓練において、その全カリキュラムを修了した者。」と定められています。

カリキュラムの修了後は随時、在宅で受験でき、受験料は5,600円(税込)、得点率70%以上で合格です(2026年9月28日確認)。

そのため、「食育アドバイザーは独学で取得できますか」という疑問への答えは、指定の講座を修了しなければ受験の条件を満たさない、ということになります。

講座の受講料は、講座を提供する教育機関の案内で確認することになります。

講座の内容や受講料の比較は、この記事では扱いません。

ルート③ 講座を修了し、認定団体に申請するもの

認定団体の試験を別に受けるのではなく、指定された講座を修了したことを条件に、認定団体へ資格を申請するタイプです。

NPO日本食育インストラクター協会の食育インストラクターのうち、入口にあたる「プライマリー」がこのルートです。

協会の取得要件のページでは、プライマリーの条件を「当協会が定める一定の内容の通信教育講座を修了」とし、対象の講座として、協会と通信教育提携をしているがくぶんの「服部幸應の食育インストラクター養成講座」が挙げられています。

協会のよくある質問では、この講座を修了するとプライマリーの資格を申請でき、その後に正式に認定されると案内されています(2026年9月28日確認)。

「講座を修了すれば申請できる」という案内は、講座の中に課題や試験がないという意味ではありません。

講座を修了するための条件(課題の提出や修了のための試験があるかどうか、合格の基準など)と受講料は、申し込む前に講座の案内でご確認ください。

食育インストラクターは、級ごとに取得の方法が分かれています

NPO日本食育インストラクター協会は、食育インストラクターを「5段階に分けて認定」しています。

プライマリー、4級、3級、2級、1級の5つで、級ごとに取得の方法がいくつか用意されています(2026年9月28日確認)。

取得の方法には、協会の「推進校」に通うものと、通わないものがあります。

推進校とは、協会の会員で2級以上を持つ方が教える料理学校(教室)のうち、協会が認めた学校のことです。

推進校に通う方法では、調理実習の受講が条件に含まれます。

推進校に通わない場合、協会の取得要件のページには、次のような道筋が示されています。

  • プライマリー:協会が定める通信教育講座を修了
  • 3級:プライマリーの取得者は、調理実技筆記試験(80点以上合格)で取得できます
  • 2級:3級の取得者は、2級資格認定研修会の受講(12単位)、食育筆記試験(70点以上合格)、調理実技筆記試験(80点以上合格)で取得できます
  • 1級:2級取得後1年以上の食育実務経験があることが条件で、1級資格認定研修会の受講(12単位)、食育筆記試験(80点以上合格)、活動報告、食育レシピ提案が求められます

4級については、推進校に通学し、調理実習(6単位)と食育授業(6単位)を受けたうえで、食育筆記試験(60点以上合格)に合格する方法が示されています。

取得要件のページには研修会で取得する方法も載っていますので、実施の有無はその年度の研修会の案内でご確認ください。

このほか、協会が「食育に関する国家資格」として挙げている資格(管理栄養士、栄養士、調理師、看護師、介護福祉士、保育士など)をお持ちの方向けの取得方法も設けられています。

研修会の形式についても確かめておきましょう。

協会の研修会日程のページでは、令和8年度の資格取得研修会は「インターネットを活用したオンライン配信にて開催」するとされ、オンライン配信を受けられない場合のみDVDでも対応すると案内されています。

一方、推進校で調理実習を受ける方法は、学校に通うことが前提です。

60代から学び始める方や、ご家族の介護などで先の予定を組みにくい方は、自宅で進められる方法と通う方法のどちらを選ぶかを、その年度の案内で確かめておくと安心です。

主な食育の資格と認定団体・費用の一覧

ここまでの内容を、資格ごとに表にまとめます。

受験料・研修会の費用と、講座の受講料は性格が違うため、分けて考えてください。

金額と条件は、いずれも各団体の公式サイトを2026年9月28日に確認したものです。

資格名取得ルート認定団体受験料・研修会の費用受験・取得の条件受け方
食育健康アドバイザー®①日本安全食料料理協会(JSFCA)受験料10,000円(消費税込み)受験資格は「特になし」郵送による在宅受験
JADP認定食育アドバイザー®②一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)受験料5,600円(税込)指定の認定教育機関等の教育訓練で全カリキュラムを修了修了後、随時在宅で受験
食育インストラクター(プライマリー)③特定非営利活動法人NPO日本食育インストラクター協会講座の受講料は講座の案内で確認協会が定める通信教育講座を修了(修了の条件は講座の案内で確認)講座の修了後、協会に申請
食育インストラクター(3級・推進校に通わない場合)級ごとに異なる特定非営利活動法人NPO日本食育インストラクター協会調理実技筆記試験7,700円(税込)プライマリーの取得者協会の案内で確認
食育インストラクター(2級・推進校に通わない場合)級ごとに異なる特定非営利活動法人NPO日本食育インストラクター協会受講受験料(食育)会員20,900円・非会員34,100円、受験料(調理)7,700円(いずれも税込)3級の取得者令和8年度の研修会はオンライン配信
食育インストラクター(1級)級ごとに異なる特定非営利活動法人NPO日本食育インストラクター協会受講受験料 会員27,500円・非会員40,700円(税込)2級取得後1年以上の食育実務経験など令和8年度の研修会はオンライン配信

費用を比べるときに確かめたいこと

受験料だけを見て比べると、あとから受講料や申請料が加わり、想定と違ってくることがあります。

申し込む前に、次の点を確かめておくと見通しが立ちます。

  • 講座の受講料:ルート②とルート③では講座の受講が前提になります。受講料は、講座を提供する教育機関の案内でご確認ください
  • 食育インストラクターの申請料:取得要件のページに示されている費用には、合格後の申請料は含まれないとされています。協会の「資格取得申請料」のページでは、申請料が税別で示されており、プライマリーと3級・4級は会員・非会員とも6,000円、2級は会員8,000円・非会員13,000円、1級は会員15,000円・非会員25,000円です(2026年9月28日確認)
  • 会員価格:食育インストラクターの研修会の費用は、会員・非会員別に示されています。協会への入会方法のページでは、一般会員の入会金5,000円・年会費3,000円が示されており(税込・税抜の表記はありません)、会員になると研修会や資格認定料が「会員価格」になると案内されています
  • 更新の有無:この記事で確認した資格案内のページでは、資格の更新について記載を確認できなかったものもあります。長く続けるつもりであれば、申し込む前に各団体へご確認ください

取得までにかかる費用の合計は、選ぶ級やコース、会員になるかどうかによって変わるため、この記事では示していません。

内訳を、ご自身が申し込む内容に合わせて確かめてください。

各団体の公式サイトは次のとおりです。

食育インストラクター・食育アドバイザー・食生活アドバイザーの違い

名前の似ている3つの資格は、「どれがいいか」を比べる前に、認定団体と取得ルートの違いを押さえておくと整理しやすくなります。

ここでは順位をつけずに、違いを並べます。

資格名認定団体取得ルート学び方・受け方
食育インストラクター特定非営利活動法人NPO日本食育インストラクター協会プライマリーは講座の修了、3級以上は筆記試験や研修会など通信教育から始められる。推進校で調理実習を受ける方法もある
JADP認定食育アドバイザー®一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)指定講座の修了後に試験在宅で受験
食生活アドバイザー®一般社団法人FLAネットワーク協会3級・2級は講座の受講が受験の条件ではない検定試験を受験

(2026年9月28日に各団体の公式サイトで確認)

食育インストラクターと食育アドバイザーの違い

大きな違いは、取得の仕方と、選ぶ方法によって調理の実技に関わる内容が含まれるかどうかです。

食育インストラクターは5段階に分かれ、級ごとに複数の取得方法があります。

推進校に通う方法では調理実習の受講が条件に含まれますが、前の見出しで紹介した、推進校に通わない3級・2級の取得方法では、調理の実技に関わる内容は「調理実技筆記試験」という筆記の試験で確かめる形です。

取得方法によっては、実際の調理実習が含まれないことになります。

一方、JADP認定食育アドバイザー®は、指定講座を修了したあと在宅で受験する形です。

知識をご自宅で整理したい方と、調理の実技を人から教わりたい方とでは、合う資格や取得方法が変わります。

実習を重視する場合は、資格名だけでなく、希望する級と取得方法の内容まで確かめておくと安心です。

どちらが上ということではなく、ご自身が学びたい内容と通い方で選ぶことになります。

食育アドバイザーと食生活アドバイザーの違い

名前はよく似ていますが、認定団体も取得の仕方も別の資格です。

食生活アドバイザー®は、一般社団法人FLAネットワーク協会が実施する検定です。

協会の受験案内には、3級・2級について「受験について制限はありません。

食生活に興味のある方ならどなたでも受験できます。」とあり、よくある質問では「通信講座の受講期間と受験は連動しておりません。」「民間の資格検定試験になります。」と説明されています(2026年9月28日確認)。

つまり、指定講座の修了が受験の条件になっているJADP認定食育アドバイザー®とは、取得ルートが異なります。

食生活アドバイザーの級や活かし方については、別の記事で詳しくまとめています。

食生活アドバイザーは取って良かった?活用法やメリットを徹底解説!

「食育の資格は意味ない?」取得後の現実

「食育インストラクターは意味がない」「食育アドバイザーは無駄では」という言葉で調べる方もいらっしゃいます。

このセクションでは、取得後に活かせる場面と、そうはならない場面の両方をお伝えします。

どちらも知ったうえで選んでいただくためです。

「意味がない」と感じやすい場面

取ったあとに「意味がなかった」と感じる場面として、考えられるものが3つあります。

一つめは、資格によって何かの業務が許可されると期待していた場合です。

本記事で紹介した資格はいずれも民間団体の認定で、その資格がなければ行えない業務が法律で定められている性質のものではありません。

二つめは、資格を取れば人に教えられるようになると期待していた場合です。

資格は学んだ内容を示すものですが、人に伝える技術や、伝える場を用意することは、資格とは別に必要になります。

三つめは、学びたかった内容と取得ルートが合っていなかった場合です。

在宅の試験で取得する資格では、調理の実技を人から教わることは取得の条件に含まれていません。

実技を学びたかった方には、物足りなく感じられることがあります。

反対に、推進校で調理実習を重ねる方法は、通う時間が取れないと先に進みにくくなります。

暮らしのなかで活きる場面

身近なのは、ご自身とご家族の食卓で使う形です。

学ぶ内容は資格ごとに異なりますが、食について学んだことは、日々の買い物や献立を考えるときの手がかりになります。

行事食や郷土料理のいわれを知っていれば、お孫さんや若い世代と台所に立つときの話題にすることもできます。

子どもが独立して二人分の食事になった方や、まだ仕事を続けながら食卓を整えている方など、状況によって使いどころはそれぞれです。

人に伝える場面で使うとき

地域の集まりや料理の場で食について話すとき、学んだ経緯を説明する材料になることがあります。

国の第5次食育推進基本計画には、「食育に関する民間資格を有する者等の食育活動への積極的な参加を促進する」という記述もあります。

資格を、地域の食育活動に関わるきっかけにするという考え方もできます。

ただし、先に触れたとおり、伝える場や伝え方は資格とは別に用意することになります。

なお、手作りの食品を販売しようとする場合は、資格とは関係なく、食品衛生法にもとづく営業許可や届出が必要になることがあります。

手続きや相談先は営業の形態によって異なるため、製造や販売を予定している場所を管轄する保健所に、事前にご確認ください。

学ぶこと自体を目的にしてもかまいません

資格を仕事や活動に結びつけることだけが、学ぶ理由ではありません。

これまで何気なく選んできた食材や料理について、背景を知ったうえで味わうことそのものを目的にされる方もいらっしゃいます。

学ぶこと自体を目的にされている方も、何かにつなげたいと考えていらっしゃる方も、どちらもいらっしゃいます。

資格を取る前に考えておきたい観点は、こちらの記事で整理しています。

50代の資格取得は「無駄」?取る前に考えたい5つのこと

資格を取らずに食育を学ぶ・地域で関わる道

食育を学ぶ方法は、民間資格だけではありません。

市町村の講座を経て地域で活動する道や、暮らしのなかで少しずつ学ぶ方法もあります。

資格を取るかどうかを決める前に、こうした選択肢も見渡しておくと、ご自身に合う形が選びやすくなります。

市町村の「食生活改善推進員」養成講座

食生活改善推進員(ヘルスメイト)は、食を通した健康づくりのボランティアとして、地域で活動している方々です。

前半で触れた「食育アドバイザー」の併名は、この推進員のことです。

一般財団法人日本食生活協会の説明では、推進員になるには、市町村で開催される養成講座を受けて修了し、そのあと市町村の食生活改善推進員協議会に自ら入会して活動を始めるとされています。

養成講習会は「男女の区別なく市町村で養成が行われています」とあり、活動の一つめには「食育の推進と普及、啓発」が挙げられています(2026年9月28日確認)。

国の第5次食育推進基本計画でも、「食生活改善推進員や食育ボランティア等の活動を推進する」とされています。

計画では、「食育の推進に関わるボランティア団体等において活動している国民の数」を指標とし、令和6年度(2024年度)の30.3万人を、令和12年度(2030年度)までに31万人以上とすることを目指しています。

あわせて、人口減少や高齢化の進行により、ボランティアの数が減少していることにも触れられています(農林水産省「第5次食育推進基本計画」令和8年6月24日決定・2026年9月28日確認)。

養成講座の開催時期や内容、受講の条件は、お住まいの市町村の健康づくりの担当窓口や広報でご確認ください。

退職後や子育てが一段落したあとに、地域の活動として食に関わりたいと考えている60代の方にとっても、選択肢の一つになります。

料理教室やセミナー、農業体験で学ぶ

料理教室やセミナーでは、旬の食材を生かす調理法や伝統料理の作り方などを、人から直接教わることができます。

同じ関心を持つ方と話す機会が、学び続けるきっかけになることもあります。

農業体験や食品工場の見学のように、食材がつくられる現場を訪ねる方法もあります。

野菜が育つ過程や、食品がどのように作られているかを知ると、食卓に並ぶものの見え方が変わることもあります。

行事食や郷土料理、隣の分野から入る

農林水産省は、毎年6月を「食育月間」としています。第5次食育推進基本計画では、毎月19日を「食育の日」と定めています。

食育月間の期間中は、全国各地で食育をテーマにした取組やイベントが実施されると案内されていますので、自治体や地域の催しに参加してみるのも、一つの入り方です。

おせちやお彼岸のおはぎのような行事食、地域に伝わる郷土料理のいわれを調べてみるところから始める方法もあります。

また、薬膳やスイーツのように、食育と隣り合う分野から学び始めるという進め方もあります。

よくあるご質問

食育の資格について、調べる段階で気になりやすい疑問をまとめました。

いずれも、2026年9月28日に確認した各団体の公式案内をもとにしています。

Q: 食育アドバイザーは独学で取得できますか?

JADP認定食育アドバイザー®は、「当協会指定の認定教育機関等が行う教育訓練において、その全カリキュラムを修了した者。」が受験資格とされています。

そのため、指定の講座を修了しなければ受験の条件を満たしません。

受験資格が「特になし」とされている食育健康アドバイザー®のように、講座の受講を条件にしていない資格もあります。

Q: 食育インストラクターは国家資格ですか?

国家資格ではありません。

特定非営利活動法人NPO日本食育インストラクター協会のよくある質問に、国家資格ではないことが明記されています。

本記事で紹介した食育の資格は、いずれも民間団体が認定する民間資格です。

Q: 60代からでも取れますか?

この記事で確認した各団体の公式案内に、年齢の上限についての記載は見当たりませんでした。

食育健康アドバイザー®とJADP認定食育アドバイザー®は在宅で受験する形で、食育インストラクターの研修会も、令和8年度はオンライン配信と案内されています。

一方、推進校で調理実習を受ける方法は通学が必要です。

60代から学び始める場合は、自宅で進められる方法と通う方法のどちらを選ぶかを確かめてから申し込むと安心です。

Q: 合格率は公表されていますか?

この記事で確認した食育健康アドバイザー®・JADP認定食育アドバイザー®・食育インストラクターの各団体の資格案内のページでは、合格率を確認できませんでした。

各団体が示している「70%以上」「60点以上」といった数字は、合格に必要な得点や評価の基準であり、合格率とは別のものです。

Q: 食育インストラクターに年会費はかかりますか?

NPO日本食育インストラクター協会の入会方法のページでは、一般会員の入会金5,000円・年会費3,000円が示されており、会員になると研修会や資格認定料が「会員価格」になると案内されています。

入会金・年会費は協会に入会するための費用で、資格の申請料とは別のものです。

協会の資格取得申請料のページでは、プライマリーと3級・4級の申請料は会員・非会員とも6,000円(税別)、2級と1級は会員・非会員で金額が分かれています。

資格を持ち続けるために会員であることや更新が必要かどうかは、この記事で確認した協会の案内からは分かりませんでした。

申し込む前に協会へご確認ください。

Q: 履歴書にはどう書けばよいですか?

資格名は、認定団体が示している正式な名称に合わせて書くと、どの資格かが伝わりやすくなります。

たとえばJADPのページでは「JADP認定食育アドバイザー®」と表記されています。

記載の仕方に団体の指定がある場合は、それに従ってください。

資格がどのように評価されるかは提出先によって異なるため、この記事では扱いません。

まとめ

食育の意味と、「食育」の名がつく資格の選び方を見てきました。主なポイントは次のとおりです。

  • 食育基本法の前文では、食育は「あらゆる世代の国民に必要なもの」とされています。2026年には法改正と国の計画で「大人の食育」が打ち出されました
  • 本記事で紹介した食育の資格は、いずれも民間資格です。同じ名前でも、別の団体の制度や別の使われ方があります
  • 取得ルートは「試験だけで取得するもの」「講座を修了してから認定団体の試験を受けるもの」「講座を修了して認定団体に申請するもの」の3つに分かれ、独学で取れるかどうかはこのルートで変わります
  • 食育インストラクターは5段階で、推進校に通わない場合の取得方法も示されています
  • 資格そのものが何かの業務を許可するわけではありません。暮らしのなかで使う、学ぶこと自体を楽しむという選び方もあります
  • 市町村の食生活改善推進員の養成講座のように、資格を取らずに地域で関わる道もあります

食育の何に惹かれているのかを言葉にしてみると、見るべきルートが絞れてきます。知識を整理したいのか、台所で手を動かしながら学びたいのか、地域で誰かと一緒に取り組みたいのか。まずはご自身の関心がどこにあるのかを考えてみてはいかがでしょうか。


※本記事は2026年9月28日時点で、各認定団体・農林水産省・e-Gov法令検索の公式情報を確認して作成しています。受験資格・受験料・研修会の費用や形式・申請料等は変更される可能性があるため、最新情報は各団体の公式サイトでご確認ください。

※本記事は食を学ぶ楽しみとしての情報提供を目的としており、食品の医学的な効果効能を保証するものではありません。

※食物アレルギーをお持ちの方は、原材料を必ず確認の上、ご自身の体質に合わせてお楽しみください。

50代からの趣味と仕事