はじめに

手芸を始めてみたいと思っても、編み物や刺繍、ビーズ細工など手芸の種類は幅広く、どれを選べばよいか迷うことがあります。

子どもが独立して自分の時間が増えた方や、若い頃にしていた手芸をもう一度楽しみたい方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、50代・60代から手芸を始める方に向けて、12種類の手芸を素材別の一覧表で比べます。

あわせて、自分に合う手芸を選ぶためのチェックポイントも紹介します。

それぞれの詳しい作り方や、作品を販売することについては、この記事では扱いません。

また、この記事では手芸を健康のための手段としてではなく、手を動かして作る時間そのものを楽しむ趣味として紹介します。

手芸とは?裁縫・工芸・ハンドメイドとの違い

手芸とは、糸や布、ビーズなどの材料を手作業で加工し、身の回りの品や飾りを作る趣味や技術のことです。

マフラーや巾着のように暮らしの中で使うものもあれば、ブローチや壁飾りのように身につけたり飾ったりして楽しむものもあります。

手芸と近い言葉に、裁縫・工芸・ハンドメイドがあります。

このセクションでは、それぞれの違いと、公的な統計での手芸の扱いを整理します。

手芸と裁縫の違い

裁縫は、布を裁って縫い合わせ、衣服や小物に仕立てる技術です。

手芸の一つとして紹介されることもあれば、手芸とは分けて扱われることもあります。

たとえば総務省統計局の「社会生活基本調査」では、趣味・娯楽を35の種類に分けて調べています(総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の概要」付2・2022年8月31日公表・2026年10月15日確認)。

この調査では、「和裁・洋裁」と「編み物・手芸」は別の項目になっています。

この記事では、裁縫も手芸の一つとして一覧に含めています。

手芸と工芸・ハンドメイドの違い

工芸は、陶磁器や漆器、木工、金工などの分野を指して使われる言葉です。

窯や工具などの設備を使うものも含まれ、手芸との境目がはっきり決まっているわけではありません。

先ほどの調査でも、「陶芸・工芸」は「編み物・手芸」とは別の項目として集計されています。

ハンドメイドは「手作り」を意味する言葉で、手芸のほか、木工や陶芸などを含めた手作り全般を指して使われる場合もあります。

統計で見る手芸

社会生活基本調査では、10歳以上の人口に占める、その活動を過去1年間に行った人の割合を「行動者率」と呼んでいます。

2021年の行動者率は、10歳以上の全体で「編み物・手芸」が8.8%、「和裁・洋裁」が5.5%でした(同資料 表4-3)。

女性に限ると、「編み物・手芸」は16.5%、「和裁・洋裁」は10.1%です(同資料 図4-2)。

ここでいう過去1年間は、2020年10月20日から2021年10月19日までです。

資料には、この期間に新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が2回出されていたことが記されています。

資料はあわせて、「感染症の影響による三密回避の日常化や数度の行動制限」にも触れています。

そのうえで、前回の2016年の調査と比べ、「自由時間における生活行動の状況について様々な変化を伴った結果となっていることがうかがえる」としています。

また、これらは調査で「編み物・手芸」「和裁・洋裁」として集計された活動の数字です。

この記事で紹介する12種類それぞれの割合を示すものではありません。

この記事で引用した図表からは、50代・60代だけの割合は分かりません。

手芸の種類一覧表|素材で分ける3つのグループと12の手芸

手芸の種類は、主に使う素材で分けると整理しやすくなります。

この記事では、12種類の手芸を3つのグループに分けて紹介します。

3つのグループは、「糸・毛糸を使う手芸」「布を使う手芸」「ビーズやフェルト、紙・ひもなどを使う手芸」です。

まずは一覧表で全体を見比べてから、気になる手芸の説明を読んでみてください。

種類主な材料・道具の例作れるものの例始めやすい作品の例確かめておきたいこと
棒針編み毛糸、棒針、とじ針、はさみマフラー、帽子、セーターマフラー毛糸の太さに合う号数の針を選ぶ
かぎ針編み毛糸やレース糸、かぎ針、とじ針、はさみコースター、バッグ、あみぐるみ、レース編みの敷物コースター糸の太さに合う針を選ぶ。レース編みは細い糸と細い針を使う
刺繍刺繍糸、刺繍針、布、刺繍枠(あると刺しやすい)ハンカチや巾着のワンポイント、額に入れて飾る作品小さなワンポイント細かい図案は手元を明るくして進める
裁縫布、針、糸、裁ちばさみ、まち針、印つけの道具(ミシンは使う場合のみ)巾着、ポーチ、エプロン、服、浴衣巾着巾着などの小物は手縫いでも作れる。布を裁つ場所とアイロンがあると進めやすい
パッチワーク・キルト布、針、糸、定規、印つけの道具、キルト芯(キルトの場合)ポットマット、ポーチ、バッグ、タペストリー、ベッドカバーポットマット大きな作品は完成までに時間がかかる場合がある
つまみ細工正方形に切った布、ピンセット、のり、土台髪飾り、ブローチ、季節の飾り花ひとつのブローチ小さな布をピンセットで扱うため、手元を明るくする
ビーズ細工ビーズ、テグスやワイヤー、はさみ、金具をつける場合はペンチブレスレット、ネックレス、チャーム、ビーズの花ブレスレット小さなパーツが転がらないよう、トレーなどの上で作業する
フェルト手芸フェルト生地、はさみ、針と刺繍糸、手芸用接着剤マスコット、季節の飾り、ブローチ小さなマスコット縫って作る方法と貼って作る方法があり、使う道具が違う
羊毛フェルト羊毛、専用の針、作業用マット(石けん水などを使う方法もある)動物のマスコット、ブローチ、コースター小さなマスコット専用の針は先が鋭い。肌に合わない場合は使うのをやめる
レジンレジン液、型や土台、光で固めるタイプは専用のライトチャーム、キーホルダー、アクセサリー小さなチャーム2つの液を混ぜて固めるタイプもある。使う製品の注意表示に従う
紙バンド紙バンド、はさみ、洗濯ばさみ、手芸用接着剤、メジャーかご、小物入れ、バッグ小さな小物入れ長い帯を広げて作業する場所を用意する
マクラメマクラメ用のコードなどのひも、はさみ、ひもを固定する道具プラントハンガー、壁飾り、ブレスレット、キーホルダーキーホルダー結び方を1つずつ覚えていく

表は、この3つのグループの順に並べています。

「主な材料・道具の例」は、始めるときに使うものの一例です。

作る作品や作り方によって、必要な道具は変わります。

「始めやすい作品の例」も一つの目安です。

どの作品から始めるかは、作りたいものや手元の作業のしやすさに合わせて選んでかまいません。

費用や完成までの時間は、作品の大きさや材料、手の慣れによって大きく変わるため、この表には載せていません。

糸・毛糸を使う手芸(棒針編み・かぎ針編み・刺繍)

糸や毛糸を使う3つの手芸は、どれも椅子に座ったまま手元で進められます。

作りかけの作品を袋や箱にまとめておけば、空いた時間に少しずつ進めることもできます。

ここでは、棒針編み・かぎ針編み・刺繍の3つを紹介します。

棒針編み

棒針編みは、2本の棒針(作品によっては4本の棒針や輪針)で毛糸を編んでいく手芸です。

表編みと裏編みという基本の編み方を組み合わせて、マフラーや帽子、セーターなどを作ります。

まっすぐ編み進めるマフラーなら、編み目の練習をしながら1つの作品に仕上げられます。

毛糸のラベルにはその毛糸に合う針の号数が書かれていることがあり、針を選ぶときの目安になります。

秋から冬は毛糸の小物、春から夏は綿や麻の糸で編む小物というように、季節に合わせて素材を変えて楽しむ方もいらっしゃいます。

編み物を始めるときの道具の選び方や続け方は、50代からの編み物の始め方の記事で詳しく紹介しています。

編み物そのものの楽しみ方を知りたい方は、編み物の魅力を紹介した記事も参考にしてください。

かぎ針編み

かぎ針編みは、先がかぎ状になった1本の針で糸を引き出しながら編む手芸です。

鎖編みや細編み、長編みといった編み方を組み合わせて、コースターやバッグ、帽子などを作ります。

かぎ針編みでは、毛糸で小さな人形やマスコットを作る「あみぐるみ」や、レース糸で敷物などを作る「クロッシェレース」も楽しめます。

クロッシェレースでは、糸の太さに合ったレース針(細いかぎ針)を使います。

コースターのような小さな作品なら、編み方を覚えながら完成まで進められます。

編み物が自分に合うかどうか気になる方は、編み物が好きな人の性格を取り上げた記事も参考になります。

刺繍

刺繍(ししゅう)は、布に針と刺繍糸で模様や文字を刺していく手芸です。

布の織り目に沿って「×」の形を刺していくクロスステッチや、線や面をさまざまなステッチで表すフランス刺繍などがあります。

ハンカチや巾着にワンポイントを入れるほか、額に入れて飾る作品も作れます。

布をぴんと張るための刺繍枠を使うと、針を刺しやすくなります。

小さな図案や細い糸を使う作品では、手元を明るくして、目が疲れたら休みながら進めてください。

布を使う手芸(裁縫・パッチワーク・つまみ細工)

布を使う手芸は、好きな色や柄の布を選ぶところから楽しみが始まります。

家庭科の授業で習った手縫いやミシンの経験を、そのまま生かせる場合もあります。

ここでは、裁縫・パッチワーク(キルト)・つまみ細工の3つを紹介します。

裁縫(洋裁・和裁・手縫いの小物)

裁縫は、布を裁ち、縫い合わせて形にする手芸です。

服やバッグ、小物を作る洋裁と、着物や浴衣などを仕立てる和裁があります。

ミシンがあると長い直線を縫う作業を進めやすくなりますが、巾着やポーチのような小物は手縫いでも作れます。

始めるときは、まっすぐ縫う部分が中心の巾着など、小さな作品から試してみてはいかがでしょうか。

布を広げて裁つ場所と、縫い代を整えるためのアイロンも用意しておくと、作業しやすくなります。

裁縫の楽しみ方は、裁縫の魅力を紹介した記事で詳しく取り上げています。

パッチワーク・キルト

パッチワークは、色や柄の違う小さな布をつなぎ合わせて、1枚の布に仕上げる手芸です。

キルトは、表布・キルト芯(中綿)・裏布の3枚を重ねて縫いとめたもので、パッチワークで作った布を表布にすることもあります。

ポットマットやポーチのような小物から、バッグ、タペストリー、ベッドカバーまで、作品の大きさに幅があります。

大きな作品は完成までに時間がかかる場合があります。

小さなブロックを1つずつ仕上げていけるため、少しずつ進めることができます。

手持ちの端切れの色合わせを考えるところから楽しめるのも、パッチワークならではです。

パッチワークの楽しみ方は、50代から始めるパッチワークの魅力の記事で紹介しています。

つまみ細工

つまみ細工は、正方形に切った小さな布を折りたたんで(つまんで)花びらの形を作り、土台に貼り合わせて花などに仕上げる日本の手芸です。

髪飾りやブローチ、季節の飾りなどを作ることができます。

布をつまむときはピンセットを、貼り合わせるときはのりを使います。

小さな布を扱うため、手元を明るくし、作業台の上で布が散らばらないように準備しておきます。

始めるなら、花ひとつのブローチのように、パーツの数が少ない作品から試せます。

ビーズやフェルト、紙・ひもを使う手芸(6種類)

糸や布のほかにも、ビーズやフェルト、羊毛、樹脂(レジン)、紙、ひもなど、さまざまな素材を使う手芸があります。

身につけるアクセサリーや部屋に飾る小物、暮らしで使うかごなど、作れるものも幅広くなります。

ここでは6つを紹介し、素材ごとの扱いで気をつけたいことも添えます。

ビーズ細工

ビーズ細工は、ビーズをテグス(透明なナイロンなどの糸)やワイヤーに通して形にする手芸です。

ブレスレットやネックレス、バッグにつけるチャーム、ビーズで作る花などを作れます。

ビーズを通して留めるだけのブレスレットなら、少ない工程で1つの作品に仕上げられます。

留め金具などをつける作品では、ペンチを使います。

小さなパーツが転がらないよう、浅いトレーや布の上で作業すると扱いやすくなります。

ビーズ細工の楽しみ方は、ビーズ細工の魅力を紹介した記事で取り上げています。

フェルト手芸

フェルト手芸は、布状のフェルト(フェルト生地)を切り、縫ったり貼ったりしてマスコットや飾りを作る手芸です。

フェルト生地は切り口がほつれにくいため、切った形のまま使えます。

刺繍糸で縫い合わせて作る方法と、手芸用接着剤で貼り合わせて作る方法があり、使う道具が違います。

小さなマスコットや季節の飾り、ブローチなどを、色の組み合わせを考えながら作れます。

羊毛フェルト

羊毛フェルトは、綿のような状態の羊毛を固めて形を作る手芸です。

専用の針で羊毛を繰り返し刺して固める方法と、石けん水などを使って羊毛をこすり合わせて固める方法があります。

針で刺す方法では動物のマスコットやブローチなどを、石けん水などを使う方法ではコースターのような平らなものも作れます。

専用の針は先が鋭いため、針を刺す方向に指を置かないように注意してください。

作業するときは、針を受け止めるための作業用マットを下に敷きます。

羊毛に触れて肌がかゆくなるなど、肌に合わないと感じた場合は使うのをやめ、症状が続くときは医療機関に相談してください。

レジン

レジンは、液状の樹脂を型に流し込んだり土台に盛ったりして固め、アクセサリーや小物を作る手芸です。

紫外線などの光を当てて固めるタイプは専用のライトを使い、ほかに2つの液を混ぜ合わせて固めるタイプもあります。

小さなチャームやキーホルダーのように、型に流して固める作品から試すことができます。

レジン液は、製品によって使い方や注意事項が異なります。使用前に、取扱説明書や注意表示を確認してください。

レジン液が皮膚や目に付着しないようにし、製品の指示に従って手袋などの保護具を使用してください。

作業中や硬化中は換気を行い、硬化方法や作業環境についても製品の指示に従ってください。

肌に異常を感じた場合は使うのをやめ、症状が続くときは医療機関に相談してください。

紙バンド(クラフトバンド)

紙バンドは、細い紙のひもを何本も並べて貼り合わせた帯状の素材で、クラフトバンドとも呼ばれます。

必要な幅に裂いて使える製品もあり、編んだり組んだりして、かごや小物入れ、バッグなどを作ります。

洗濯ばさみで仮どめしながら、手芸用接着剤で貼り合わせて形にしていきます。

長い帯を広げて切ったり編んだりするため、作業する机の広さに余裕があると進めやすくなります。

始めるなら、小さな小物入れのような作品から試せます。

作ったかごを小物の整理に使うなど、暮らしの中で使えるものを作りたい方には選択肢の一つです。

マクラメ

マクラメは、ひもを結んで模様を作りながら形にしていく手芸です。

観葉植物の鉢をつり下げるプラントハンガーや壁飾り、ブレスレット、キーホルダーなどを作れます。

マクラメ用のコードなどのひもと、はさみ、ひもを固定するものがあれば始められます。

結んでいるひもがずれないよう、クリップボードやピンなどで固定しながら作業します。

結び方にはいくつかの種類があり、1つずつ覚えながら作品の幅を広げていけます。

まずはキーホルダーのような小さな作品で、基本の結び方を試してみるのも一つの方法です。

自分に合う手芸の選び方|5つのチェックポイント

12種類の中から自分に合う手芸を選ぶときは、作りたいものや作業する環境から考えると絞り込みやすくなります。

ここでは、選ぶときに確かめておきたい5つのポイントを紹介します。

1つに決めきれないときは、気になったものを小さな作品で試してから、続けたいものを選ぶ方法もあります。

① 作ったものをどう使いたいか

作った作品を暮らしで使いたいのか、身につけたいのか、部屋に飾りたいのか、誰かに贈りたいのかを考えてみます。

使うものなら、マフラーを編む棒針編みや、巾着やポーチを作る裁縫、かごを作る紙バンドなどがあります。

身につけるものなら、ビーズ細工やレジンのアクセサリー、つまみ細工の髪飾りなどが候補になります。

飾るものなら、額に入れる刺繍や羊毛フェルトのマスコット、マクラメの壁飾りなどがあります。

家族や友人への贈り物にする場合は、相手の好みや使い方を思い浮かべながら選ぶ楽しみもあります。

② 手元の細かさと見えやすさ

手芸によって、手元で扱うものの細かさが違います。

ビーズ細工やつまみ細工、細い糸を使う刺繍やレース編みでは、小さなパーツや細かい目を扱います。

細かい作業が気になる方は、扱う材料が比較的大きい手芸から見てみる方法もあります。

たとえば、太めの毛糸で編む棒針編みやかぎ針編み、帯状の素材を扱う紙バンド、ひもを結ぶマクラメなどです。

同じ手芸でも、太い糸や大きめのビーズを選ぶことで、手元の作業を調整できる場合があります。

③ 作業する場所と片づけ

自宅のどこで作業するか、作業のたびに片づける必要があるかも、選ぶときの手がかりになります。

編み物や刺繍は道具が少なく、椅子に座って手元で進められるため、作りかけのまま袋などにしまっておけます。

裁縫やパッチワークでは布を広げて裁つ場所やアイロンを使う場所が、紙バンドでは長い帯を広げる場所が必要になります。

レジンを使う場合は、作業中や硬化中に換気ができ、使用する製品の取扱説明書や注意表示に沿って作業できる場所を確保しておきます。

食卓で作業する場合は、ビーズや針などの小さなものが食器にまぎれないよう、作業用のトレーや箱を用意しておくと安心です。

④ 1つの作品にかけたい時間

完成までの時間は、作品の大きさや手の慣れによって大きく変わります。

早く形にしたい方は、ビーズのブレスレットやかぎ針編みのコースターのような小さな作品から始める方法があります。

小さな作品なら、完成までの見通しを立てやすくなります。

セーターやキルトのベッドカバーのように、長い期間をかけて少しずつ進める作品もあります。

働いていて平日は時間がとりにくい方は、週末にまとめて進める作品を選ぶ方法があります。

親の介護などで予定が読みにくい方は、短い時間で区切りをつけやすい作品を選ぶなど、生活のリズムに合わせて考えてみてください。

⑤ 一人で進めるか、習いながら進めるか

本や動画、材料と説明書がセットになったキットを使えば、自宅で一人で始めることができます。

手の動きを直接見てもらいたい方は、手芸店の講習会やカルチャー教室、地域の講座などで習う方法もあります。

教室に通う場合は、曜日や時間が決まっているか、休んだときに振替ができるかなどを、申し込む前に確かめておくと続けやすくなります。

同じ手芸を楽しむ人との会話を楽しみに、サークルなどに参加する方もいらっしゃいます。

50代・60代から手芸を始めるときに知っておきたいこと

50代・60代から新しく手芸を始める方も、若い頃にしていた手芸を久しぶりに再開する方もいらっしゃいます。

ここでは、無理なく楽しむために始める前に知っておきたいことを、道具・手元・安全・これまでの経験の4つの面からまとめます。

小さな作品やキットから試す

最初から道具をすべてそろえず、小さな作品を1つ作ってみてから、続けたい手芸の道具を少しずつ増やしていく方法があります。

材料と説明書がセットになったキットを使うと、何を買えばよいか迷わずに始められます。

手持ちの裁縫道具や、余っている毛糸・端切れなどから試すこともできます。

道具や材料は手芸店や100円ショップなどでも扱われているため、実際に手に取って大きさや手触りを確かめてから選べます。

手元の明るさ・休憩・姿勢

細かい作業では、手元を照らすライトを使ったり、必要に応じて拡大鏡などを使ったりして、見えやすくする工夫があります。

太めの糸や大きめのビーズを選ぶなど、材料の選び方で見えやすさを調整することもできます。

同じ姿勢で手を動かし続けると、肩や首、手指が疲れることがあります。

時間を決めて手を止め、立ち上がって体を伸ばすなど、休憩をはさみながら進めてください。

手や指、手首に痛みやしびれ、違和感が出た場合は無理をせずに中断し、続くときは医療機関に相談してください。

針・はさみ・接着剤などの扱い

手芸では、針やはさみ、カッターなど、先端や刃が鋭い道具を使います。

使ったあとは置き場所を決めて戻し、針は本数を確かめてから片づけると、落としたまま気づかないことを防げます。

裁縫やパッチワークでアイロンを使うときは、やけどに注意してください。

接着剤やレジン液などは、製品によって使い方や注意事項が違うため、それぞれの取扱説明書や注意表示に従って使います。

材料に触れて肌に異常を感じた場合は使うのをやめ、症状が続くときは医療機関に相談してください。

これまでの経験を生かして再開する

家庭科の授業で習った手縫いや、若い頃にしていた編み物の経験を思い出しながら再開する方もいらっしゃいます。

久しぶりの場合は、手の感覚を取り戻すつもりで、まず小さな作品から始めてみてください。

道具や材料には以前と変わっているものもあるため、手芸店で相談したり、新しい本や動画で確かめたりしながら選ぶと安心です。

よくある疑問

手芸を始める前に気になる疑問を5つ取り上げ、この記事の内容をもとに答えます。

Q1. お金をかけずに始められる手芸はありますか?

道具や材料が少ない手芸を選ぶ、小さな作品から始めるといった方法で、最初にかかる費用をおさえることはできます。

たとえば、手持ちの道具と余っている毛糸や端切れがあれば、編み物や裁縫、パッチワークの小さな作品から試せます。

材料や道具は、使う量や選ぶ品によって費用が大きく変わるため、この記事では金額の目安は示していません。

お金をかけずに始められる趣味の選び方は、50代女性の趣味の見つけ方の記事で紹介しています。

Q2. 手先が器用でなくても楽しめますか?

器用かどうかの感じ方は人それぞれで、作る作品や選ぶ材料によって、手元の作業の難しさは変わります。

ビーズを通して留めるブレスレットや、フェルトを切って貼り合わせるマスコットのように、工程が少ない作品から始める方法があります。

材料と説明書がそろったキットを使う、太めの糸や大きめのパーツを選ぶといったことも、作業を進めやすくする工夫です。

一人で進めるのが不安な場合は、講習会などで手の動きを見ながら教わることもできます。

Q3. 手芸は脳の活性化や物忘れの予防になりますか?

この記事では、手芸を脳や健康のための手段としてではなく、作る時間そのものを楽しむ趣味として紹介しています。

手芸によって脳の働きがよくなる、物忘れを防げるといった効果を、この記事で約束することはできません。

物忘れなど気になる変化がある場合は、自己判断せずに、かかりつけ医などの医療機関に相談してください。

Q4. 手芸の資格はありますか?

編み物や刺繍、パッチワークなど手芸の分野によっては、民間の団体が、講座の修了や検定試験などをもとに認定する資格があります。

内容や費用、取得までの流れは資格ごとに違うため、検討する場合は認定団体の公式サイトで最新の情報を確かめてください。

資格を取ることが、教える活動や作品づくりの仕事に必ずつながるとは限りません。

学ぶこと自体を目的にする方も、知識を生かして活動したい方もいらっしゃいます。

資格を取る前に考えておきたいことは、50代の資格取得は「無駄」?取る前に考えたい5つのことでまとめています。

Q5. 60代から始めても楽しめますか?

60代から手芸を始める方も、昔の経験を生かして再開する方もいらっしゃいます。

この記事では、年齢ではなく、作りたいものや手元の見えやすさ、作業する場所のほうに目を向けて選び方を紹介してきました。

細かい作業が気になる場合は太めの糸や大きめのパーツを選ぶ、休憩をはさみながら進めるなど、ご自身のペースに合わせて楽しんでください。

まとめ

この記事では、手芸の意味と、素材で分けた12種類の手芸、自分に合う手芸の選び方を紹介しました。

主なポイントは次のとおりです。

  • 手芸は、糸や布、ビーズなどを手作業で加工し、身の回りの品や飾りを作る趣味や技術のこと
  • 糸・毛糸(棒針編み・かぎ針編み・刺繍)、布(裁縫・パッチワーク・つまみ細工)、ビーズやフェルト・紙・ひもなど(ビーズ細工・フェルト手芸・羊毛フェルト・レジン・紙バンド・マクラメ)の3つのグループがある
  • 選ぶときは、作品の使い道・手元の細かさ・作業する場所・かけたい時間・習い方の5つを確かめる
  • 小さな作品やキットから試し、手元の明るさや休憩、道具の扱いに気をつけながら進める

一覧表を見て気になった手芸があれば、まずは小さな作品を1つ作ってみるところから始めてみてはいかがでしょうか。


※本記事は、手芸を趣味として楽しむための一般的な情報の提供を目的としており、健康上の効果を保証するものではありません。

手や指、目などに痛みや違和感がある場合は無理をせずに中断し、症状が続くときは医療機関にご相談ください。

道具や材料は、使う製品の取扱説明書や注意表示に従ってお使いください。

出典:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の概要」(2021年10月20日現在で実施・2022年8月31日公表・2026年10月15日確認)

50代からの趣味と仕事